声優の給料の仕組み
声優として晴れてプロダクションに所属しても、普通の企業に勤めた場合のような月給制や年俸制でお給料をもらえるわけではありません。声優の仕事は1本1本報酬をもらう形で、制作側から事務所に支払われる金額から事務所の手数料を差し引いた額が自分の手元に入るという形になります。
1本ずつの金額は仕事の種類や声優のキャリアによって異なりますが、例えばアニメのアフレコの仕事の相場は、30分アニメ1本につき、新人声優の場合だと1万5千円、ベテランだと4万5千円ほどです。海外作品の吹き替えだと、映画1本またはドラマ1時間あたりの報酬が平均5万円、ベテラン声優で15万円程度です。ナレーションの仕事はジャンルによって金額の差が大きく、CMだと100万円になることもあれば、スーパーの宣伝アナウンスなどは1本1000円ということもあります。テレビ番組のナレーションは1本10万円程度と言われます。
ゲームのキャラクターのアフレコに関しては金額設定が上記のシステムとは異なり、1文字あたりの金額で支払われることが多く、新人だと1文字30円、人気声優だと200円ほどになります。
ずばり年収は?
年収に換算すると、声優デビューして5年以内の駆け出しの間はほぼゼロ円と思っていたほうがいいでしょう。新人のうちはとにかく声を売ることが大切なので仕事を選んでいられません。やっと仕事をもらえても金額は新人価格なので、ほとんど事務所の手数料で相殺されてしまいます。声優としてプロデビューしてもアルバイトを続けている人が多いのはそのためです。
固定ファンがつくほどの中堅レベルになってくると、レギュラーの仕事の依頼も増え、月々の本数も安定するようになります。そうなると年収300万円程度にはなると考えていいでしょう。ここまで来るとやっとアルバイトを辞めて声優業に専念することもできます。ただし、この段階まで来るにはかなりの努力や営業、そして折れない気持ちが必要になってくるため、声優の仕事だけで食べていくことが出来るのは声優を目指す人数のうちほんの一握りだと言われます。
ベテランの域に達してくると、1本ずつの金額は最高額になり、またギャラ交渉を行うことが出来る場合もあります。しかしそうなると逆に制作側が使いにくくなってしまうこともあるため、よほどの個性と魅力がない限り仕事が減ってしまうケースもあるようです。
声優だけで食べていくには
声優の仕事はアフレコや吹き替えだけではありません。アニメやゲームのアフレコをやっているうちにアイドル的存在になり、キャラクターソングを歌うようになる人も増えています。こういったアイドル声優になってくると、テレビ番組などでの露出も増え、CDや写真集なども売れるため、収入の幅が一気に広がります。
もともとゲームやパチンコなどのキャラクターボイスを録音する仕事はワード換算でお給料がもらえるためアニメや映画などの吹き替えの仕事よりも割が良く、グッズ販売などで稼げるチャンスも出て来るため、最近では最初からアイドル声優を目指す人も増えています。
また、CMや番組、企業ビデオなどのナレーションは吹き替えよりもギャラが高額です。著名ナレーターの年収は1億円を超えるとも言われます。もとは映画やアニメの吹き替えをやりたくて声優になった人でも、せっかく身につけた声優のスキルだけで食べていけるようになるためには、幅広い視点が必要になってくるのかもしれません。